月別: 2008年7月

  • 「4年制大学における介護福祉士養成に関する基礎調査」報告

    4年制大学における介護福祉士養成に関する基礎調査
    丸山晃(十文字学園女子大学)・宮内寿彦(文京学院大学)・本名靖(東洋大学)

    本調査は、4年制大学における介護福祉士養成の現状・課題・要望等を調査することにより、4年制大学における介護福祉士養成の実態を把握し、新カリキュラムへの対応に向けた具体的方策を検討する材料とすることを目的として実施いたしました。調査期間が短いにもかかわらずご協力下さいました養成校の皆様に感謝申し上げます。

    調査主体
    (仮称)介護福祉士養成大学連絡協議会準備会

    調査対象及び調査方法
    ・介護福祉士養成施設を設置している全ての4年制養成施設 合計56校(大学54校、専門学校2校)
    ・郵送配布・郵送回収

    調査時期
    ・調査票の配布開始・・・2007年10月25日
    ・調査票の回収締切・・・2007年11月9日

    配布・回収状況
    ・配布数56校
    ・回収数37校(回収率66.07%)
    配布・回収状況

    アンケートへの記載方法について
    アンケートへの記載方法

    <参考資料>
    調査対象56校の開設年度別一覧。



    「4年制大学における介護福祉士養成に関する基礎調査」報告(PDF)



  • 介護福祉士養成大学連絡協議会設立総会(新カリキュラム情報交換会)

    介護福祉士養成大学連絡協議会設立総会 新カリキュラム情報交換会
    昨年9月に「(仮称)介護福祉士養成大学連絡協議会準備会」の呼びかけを行い、シンポジウム(11月)、新カリキュラム情報交換会(3月)を開催してきましたが、このたび、「介護福祉士養成大学連絡協議会」設立総会を行うこととなりました。 各養成大学におかれましては、新カリキュラムへの移行準備に余念がないものと思われます。それぞれの大学の独自性をどう打ち出すのか、学生にとってあまりにも加重な単位過多とならないための工夫、複数資格取得のための科目配置と科目読み替え、教員配置などの教務的事項や、4制大学として介護福祉士の専門性向上にどのように貢献すべきかといった観点からも、情報交換や意見交換を望む声が多く寄せられています。 そこで、今回、新カリキュラム編成のあり方について考えるとともに、4年制大学として介護福祉士の専門性向上にどのように貢献すべきかといった観点から、各大学の状況についての情報交換会を設立総会と併せて企画することといたしました。 たくさんの方々のご参加をお待ち申し上げております。
    ● 日 時:2008年7月19日(土)13時30分~16時30分(受付13時) ● 会 場:東洋大学 白山キャンパス 6211教室(6号館2階)      東京都文京区白山5-28-20     (都営三田線「白山」・地下鉄南北線「本駒込」下車徒歩5分) ● 参加費:2,000円 ● 参加申し込み:以下の項目を記入の上メールにてお申し込み下さい。  ①お名前  ②ご所属  ③当日配布資料の有無(新カリキュラム、科目読み替え、意見など)  ④希望分科会、をお知らせください。 ※申込締切:7月10日(木) ※資料は100部程度各自で印刷してご持参ください。会場で印刷はいたしかねます。
     
    《プログラム》 13:30~14:30 介護福祉士養成大学連絡協議会 設立総会 14:30~16:00 新カリキュラム情報交換会・意見交換会           分科会①カリキュラム(全体の科目・教員・編成)               ②カリキュラム(領域「介護」について)               ③新カリキュラムにおける介護実習教育 16:00~16:30 全体のまとめ
     
    《情報交換会 参加申し込みのメール宛先》 丸山 晃(十文字学園女子大学) a-maru@jumonji-u.ac.jp 高野龍昭(東洋大学)        takanot@toyonet.toyo.ac.jp FAXでお申し込みの方は 048-478-9367(十文字学園女子大学・丸山)にお願いします
      ※夕方 懇親会を予定しております(会場未定) 

  • 介護福祉教育における大学教育の意義

    介護福祉教育における大学教育の意義
    京都女子大学 井上千津子
    1.教養教育による基礎力の修得
    介護とは、生命と生活に責任を持つ仕事であり、ゆえに、生活の主体者である「人間とは何か、」この認識こそが不可欠であり、認識するための教育が重要になる。人間の根元を認識した介護の質の高まりへと止揚していくための、教育が必須条件になる。介護は、要介護者と介護の提供者双方が、ただ単に介護を提供する、介護をうけるという関係だけではなく、人格と人格とが関わり、命と生活を共有するという相互作用により、双方の成長を促すという処に介護の価値が存在するのである。こうした介護のもつ特性からも、教養人として、また、人間として成熟していく基礎としての教養教育こそが求められているのではないだろうか。ちなみに「教養教育」、について、中央教育審議会大学分科会・学士課程教育の在り方に関する小委員会において「自らが今どのような地点に立っているかを見極め、今どのような目標に向かって進むべきかを考え、目標の実現のために主体的に行動する力を持つこと」と端的に説明している。介護福祉教育の根幹である対人援助においては、この「教養という基礎力」が介護福祉士の立ち位置を決定することになる。この教養教育のためには、教育期間と幅広い学際的な教員組織が不可欠であり、ここに大学教育の必要性、かつ重要性が裏付けられるのである。この教養教育のためには、教育期間と幅広い学際的な教員組織が不可欠であり、ここに大学教育の必要性、かつ重要性が裏付けられるのである。

    2.多様性のある介護福祉教育による汎用性や創造能力の育成
    大学故に、専門職としての単なる即戦力ではなく、知的活動や職業生活、社会生活でも必要な技能としての汎用的技能を併せ持ち、市民としての社会的責任の遂行、自己管理力や論理的思考力などが修得された質の高い介護福祉士の養成を志向すべきである。そのためには、介護福祉士資格要件に合致した科目設定にとどまらず、各大学の独自性を活かして、多様性のあるカリキュラムを構成すべきである。個性ある専門職教育を展開する事によって、始めて、個性的な、そして深みと広がりを持った介護福祉士の誕生を可能にするのではないだろうか。大学教育は多様なカリキュラム設定が可能であり、その結果、汎用性や創造的思考力をもった人材養成が可能になるのである。

    3.介護福祉士資格の社会的評価の必要性
    資格レベルは、資格の社会的評価と連動することは、周知の通りである。社会的評価を高めるためには、介護という労働評価を高めることであり、そのためには、教育期間の延長が不可欠である。教育期間の延長は、教育内容の充実を図ることになり、質の高い人材が輩出されることに結びつき、このことが賃金をはじめとする処遇の向上に結びつくという循環が生まれる。このことは、介護職の介護という労働に対する意欲を喚起することであり、介護への人材の吸収につながり、離職率を低減することに結び就くのである。大学教育による資格の取得は、資格のレベルをあげることに結びつき、介護福祉の質の向上に連動し、結果的に社会的評価を上げることにつながっていくことになる。大学を卒業した介護福祉士が、専門性の高い人材として社会で活躍することが資格のレベルを高めることになり、人材の確保にもむすびつくことになる。

    4.リーダー養成・教育研究を担う人材育成
    介護福祉の実践場面においては、適時・適切なスーパービジョンの展開が緊要であり、さらに、介護を必要とする人への援助をすすめるには、1対1の個別介護を組み立てて実践するレベル、家族や他の専門職と共に援助していくチームケア、またサービスを創設し、基盤を整備していくレベル、これらを統合し連動させていく働きかけが重要になる。そのためには、介護福祉士のリーダー養成が必須条件になる。介護福祉士のリーダー養成のためには、大学における伸びしろのある介護福祉教育が不可欠であり、大学が担う役割であろう。さらに、大学における介護系教員不足の対応についても、文科省・厚労省の両要件を具えた教員養成のための役割が課せられることになる。

    6.研究・教育の質の確保
    教育環境の整備は、専門職の養成教育の確立にとっては大前提である。大学においては、格差はあるものの、それにふさわしい研究・教育条件が整備されている。教育環境は、介護福祉教育を向上させるための必須条件である。教員自身が自らの成長が実感でき、自信を持って教育できる時間的ゆとりなどの教育環境を抜きにして教育効果は望めないことは明白である。教育環境の柱は、研究に時間やエネルギーをどれほど注入できるか、ということであろう。介護福祉という実践領域においては、研究成果の学生教育への還元が第一義であり、さらに実践現場に貢献できる知見を導き出すことが求められる。そのためには、事例研究や調査研究を基本にして、研究結果を常に実践現場において実証し、さらにその成果の上に研究が積みあげられていくという研究の継続性こそ重要である。こうした研究成果の積み上げが介護の発展に結びつく意味からも大学教育の意義は大きい。

    7.地域におけるケア力の醸成
    個人の抱える生活問題から、地域の共通課題へと拡大し、地域の住民やボランティアが地域の福祉システムの開発や活動に参加するきっかけや意欲の喚起、継続性の維持のために専門職としてかかわっていくことによって、地域に根ざした福祉力を醸成していくことになる。こうした人材養成のためにも大学における教育の意義が存在するであろう。

    以上の点からも、大学における介護福祉教育の社会的意義は大きいといえる。

  • 卒業生紹介

    出身大学
    日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉援助学科 介護福祉コース卒業

    仕事
    特別養護老人ホームにて6年間介護職として勤務。フロア副主任。その後、介護福祉コースのある大学で実習助手を2年務める。出産を控え現在は専業主婦。

    今、思うこと
    特養ホームに入居している多くの方にとってはホームが人生最期の住み家となります。誰にいつなにがあっても、そのお年寄りもその家族も私自身も後悔はしないように日々援助したいと思いながらも、限られた人手と環境では思うようにできないこともあり、ジレンマを感じたこともありました。そんな時は、みんなと一緒に介護にあたることで乗り越えていました。介護の現場を一度離れたことで、介護という仕事について色々と振り返ることができましたが、結局一番思い出すのは、お年寄りは優しかったな、やっぱり介護の仕事は楽しかったな、ということです。

    高校生へのメッセージ
    4年制大学では、社会や社会福祉というより広い視点を持ちながら介護の勉強をすることができます。長期の休みがありますし、自分のやってみたいことをやってみる時間があります。介護は自分ではない誰かの生活を支える仕事ですから、より広い視点で人を想うことが大切になってきます。どんな経験も無駄にはなりません。また、介護実習を4年間の中で段階を踏んで実施するので、消化し振り返りながら進むことができます。介護と一口に言っても、高齢者、障がい者、施設、在宅、福祉機器、住居、デザイン…と様々なアプローチがありますので、ゆっくり自分の関心を探してみても良いのではないのでしょうか。将来の自分の仕事を考えるには、迷い、決定する時間が必要です。「やっぱり自分はこの仕事をしてみたい」と決めた人は、どんな仕事に就いても強く、いきいき働けると思います。